招かれざる客
皆さんは出来れば会いたくない人、関わりたくない人はいますか?
私はいます。
いや、ほとんどの銀行員は私と同じ意見でしょう。
私が会いたくない人は、監査官です。
監査官とは、銀行の本部にある監査部という部署に所属する人たちです。
なぜこの監査官という人種を銀行員が嫌うか、説明したいと思います。
監査官とは
先ほども説明しましたが、監査官とは監査部に所属する人たちのことを言います。
銀行によっては、呼び方が異なるかもしれません。
だいたいが、引退を控えたおじいちゃん行員が多いですね。
この人たちの仕事は、支店を回り、事務指導を行うことです。
監査官の事務指導
銀行には『総合監査』と呼ばれる監査官による事務指導が何年かに一度支店に入ります。
これは銀行員にとってはもう恐怖でしかない!
銀行の事務には、細かいルールがたくさんあり、このルールに則った事務を行わなければいけません。
しかし、ルールが多すぎるため、ルールから若干外れてしまうこともしばしばあります。そりゃ人間ですから。
監査官の仕事は、そういった現状銀行にとってリスクではないけども、将来的にリスクになり得る事象の排除を行うことを目的にしています。
そのため、彼らの指導はかなり厳しいものになります。
指導というかもはやしごきに近いです。
では総合監査の一日をご紹介します。
総合監査の一日
AM6:50 監査官支店に到着
AM7:30 一人目の行員が支店に到着
全く嬉しくないサプライズである
AM7:35 他の行員に監査官が来ていることを一斉にLINEで配信
もはやどうすることもできない
AM8:00 続々と行員が出勤
監査官が私物、ロッカーの中身をチェック
AM8:30 金庫が開き続々と資料が監査官へ提出される
あああーその資料はぁぁぁ
AM9:00 続々と監査官から指摘が入る
はいはい申し訳ございません
AM12:00 監査官がお昼に入る
どこか美味い飯屋はないかと聞かれる
知るか食べログで調べろや糞が
PM16:30 監査の一日が終わる
「また明日よろしく!」
二度と来るなボケカスが
とまぁこんな感じの流れです。
ちなみに監査は4日間行われます。
監査官は我々が普段仕事をしている部屋とは別の部屋で行われているため、いったい今何の資料を見られているのかもわかりません。
監査官からのご指摘
渉外活動から戻ると、監査官からの 指摘書が置かれています。
内容はたいてい、預かり証発行時の不備についてです。預かり証とは、お客様から通帳や契約書、手形等の物件をお預かりする時に発行する証明書です。
この預かり証、毎日のようにお客様の所で切っていますが、渉外活動を行う銀行員にとっては生命線です。
つまりお客様から何を預かったかという証拠にもなり得るわけですから、間違いは絶対に許されないものなのです。
実際にあった事例をお話します。
ある行員がお客様から30万円をお預かりしました。
しかし、その行員は桁をひとつ間違え、300万円と預かり証に記載してしまったのです。
その後、お客様から300万円預けたのに、30万円しか入金されていないとのクレーうが入りました。
何言ってんだバカヤローとあしらうかと思いきや、なんと銀行は差額の270万円をお客様の口座に入金する対応を取りました。
『30万円しか預かってないのになんで?』と思われる方が大半でしょう。
しかし、その「30万円」を証明できるものは、預かり証しかないんです。
唯一預かった金額を証明できる預かり証を間違っていた金額で記載していたとなると、銀行は間違った金額に従わざると得ないんです。
こんなことが過去実際に起こっているわけですから、預かり証の記載については最も神経質に見ていると言っても過言ではないと思います。
監査の点数
4日間の監査が終わると、監査からの点数発表があります。
この点数、案外馬鹿にできないんです。
この点数が一定以下の点数だった場合、支店全体の業績評価に大きく影響してしまうんです。
業績評価とは、四半期決算が終了したときの支店の評価のことです。これはだいたいが目標に対する達成率で決められます。
しかし、監査の点数が悪かった場合、どんなに業績評価がよかった場合でも、最も低い評価に引き下げられます。
つまり半年間の支店の頑張りが、全くの無意味に終わるわけです。
事務をきちんと行っていない支店は、評価に値しないということですね。
以上のことから、銀行員にとって監査がどんなに嫌なものかわかっていただけたと思います。
つまり、決められたことはちゃんとやりましょうってことですね。